納骨堂っていったい何かしら?
納骨堂とは、屋内外関わらず遺骨を収容する施設です。ただし一般的には、屋内施設が多い傾向にあります。
お墓や供養の形を選ぶのは、大切な決断です。故人を偲ぶ場所であり、自分や家族の将来にも関わる重要な選択だからこそ、慎重に考えたいものです。
また納骨堂は都市部を中心に人気が高まっている供養の形ですが、まだ馴染みがない方も多いでしょう。
そこで本記事では、納骨堂の基本的な知識から選び方のコツまで、詳しく解説します。
納骨堂の特徴や費用相場、メリット・デメリットなどを理解すると、自分や家族にとって最適な選択ができます。
- 納骨堂の定義
- 納骨堂の費用相場
- 納骨堂選びの基礎知識
- 納骨堂のメリット・デメリット
この記事を読めば、納骨堂について十分な知識を得られ、自信を持って判断できるようになるでしょう。
納骨堂の相場から選び方まで丁寧に解説していきます。
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納骨堂とはご遺骨を供養する施設
厚生労働省によると納骨堂とは「他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設」と定義されます。
一般的に納骨堂は屋内施設というイメージが強いですが、実は屋外型の納骨堂も存在します。
屋内型は天候に左右されずお参りできる利点がある一方、屋外型は自然に囲まれた環境で故人を偲べるでしょう。
納骨堂は、個人や家族単位でご遺骨を安置できるのが大きな特徴です。
また、墓石形式の墓地とは異なり、土地の永代使用権を購入する必要がなく、比較的低コストで利用できるのも魅力です。
納骨堂の費用相場は70万円前後
納骨堂の費用は、地域や施設によって大きく異なります。一般的な相場は70万円前後ですが、実際にはもっと幅広い価格帯が存在します。
たとえば、東京都内の納骨堂では100万円を超える施設も珍しくありません。一方、大阪府では74万円前後が相場となっています。
さらに、札幌市では165,000円というリーズナブルな価格で利用できる納骨堂も存在します。
費用の地域差は、需要と供給のバランスや納骨堂の形式が影響します。
形式 | 特徴 |
---|---|
位牌式 | 故人の位牌を安置する形式。コンパクトで管理しやすく、都市部で人気。 |
ロッカー式 | 個別のロッカーにご遺骨を保管。プライバシーが保たれ、スペース効率が良い。 |
棚式 | 壁面に設けられた棚にご遺骨を安置。多くの納骨スペースを確保できる。 |
個室式 | 完全に独立した個室でご遺骨を保管。もっともプライベート性が高い。 |
合祀式 | 一定期間後、他の方々と一緒に合同で供養される形式。管理が簡単で低コスト。 |
納骨堂を選ぶ際は、単に価格だけでなく、施設の立地、管理体制、運営会社の信頼性なども重要な判断基準です。
自分や家族のニーズに合った納骨堂を選ぶと、長期的に後悔しにくい傾向にあります。
納骨堂に関する3つの基礎知識
納骨堂について理解を深めるため、以下の3つの基礎知識を詳しく解説します。
- 納骨堂と永代供養は比較対象ではない
- 納骨堂の収容人数は1〜10人
- 基本的には一定期間で合祀される
この知識を身につけることで、納骨堂の特徴をより正確に把握できるでしょう。
納骨堂と永代供養は比較対象ではない
納骨堂と永代供養は、しばしば混同されやすいですが、実は全く異なる概念です。
納骨堂とは、ご遺骨を安置するための物理的な施設を指します。
一方、永代供養は、故人の供養を永続的に行うという宗教的な概念や取り組みを意味します。
つまり、納骨堂は「場所」であり、永代供養は「行為」です。
納骨堂を利用しながら永代供養を受けることも可能であり、逆に納骨堂以外の場所で永代供養を行うこともあります。
たとえば、樹木葬や散骨などの新しい供養方法でも、永代供養のサービスを提供している場合があります。
このように、納骨堂と永代供養は全く異なる性質を持つため、単純に比較することはできません。
両者の特徴を正しく理解し、自分や家族のニーズに合った選択をすることが重要です。
納骨堂の収容人数は1〜10人
納骨堂の収容人数は、形式によって大きく異なります。
一般的に、1人から10人程度までの範囲で設計されていることが多いですが、具体的な人数は納骨堂の種類によって変わってきます。
以下の表は、主な納骨堂の形式とその収容人数の目安です。
納骨堂の形式 | 収容人数の目安 |
---|---|
ロッカー式 | 1〜4人 |
位牌式 | 1人 |
仏壇式 | 約10人 |
ロッカー式は比較的コンパクトで、個人や小家族向けに適しています。
位牌式はもっとも収容人数が少なく、個人専用のスペースを確保したい場合に選ばれます。
一方、仏壇式はもっとも多くの遺骨を収容でき、大家族向けの選択肢です。
納骨堂を選ぶ際は、現在の家族構成だけでなく、将来的な利用予定も考慮に入れることが大切です。
また、収容人数が足りなくなった場合の対応策についても、事前に確認しておくと良いでしょう。
基本的には一定期間で合祀される
多くの納骨堂では、一定期間が経過すると、個別に安置されていたご遺骨が合祀されます。
合祀とは、複数のご遺骨を1つの場所にまとめて供養する方法です。合祀されるまでの期間は納骨堂によって異なりますが、一般的には20年〜50年の間が多い傾向です。
ただし、中には合祀を行わず、永続的に個別管理を行う納骨堂も存在します。
こうした納骨堂は「永代使用型」と呼ばれ、より高額な費用がかかる傾向にあります。納骨堂を選ぶ際は、合祀の有無やその時期について、事前に確認しておくことが重要です。
納骨堂における2つの選び方
納骨堂を選ぶ際には、大きくわけて公営と民営の2つの選択肢があります。それぞれに特徴があり、以下のような基準を持ち、自分や家族のニーズに合わせて選びましょう。
- 価格の安さや宗派不問なら公営
- 数ある選択肢の中から施設を選ぶなら民営
順番に解説していきます。
価格の安さや宗派不問なら公営
公営納骨堂は、地方自治体が運営する施設です。一般的に価格が安く、宗教や宗派を問わない特徴があります。
たとえば、東京都の多磨霊園内にある「みたま堂」は、公営納骨堂の代表例として知られています。
公営納骨堂のメリットはとおりです。
- 価格が比較的安い
- 宗教・宗派不問
- 公的機関による安定した運営
デメリットは以下のとおりです。
- 募集数が少なく、倍率が高い
- 細かい条件や手続きがある
- 施設の選択肢が限られる
公営納骨堂は、費用面で負担が少なく、宗教的な制約がないため、多くの人にとって魅力的な選択肢の一つといえます。
しかし、人気が高いため入居までに時間がかかります。また、自治体によって利用条件が異なるため、事前に十分な調査が必要です。
数ある選択肢の中から施設を選ぶなら民営
民営納骨堂は、主に宗教法人や民間企業が運営する施設です。公営に比べて選択肢が多く、立地や設備、サービス内容など、多様なニーズに対応できます。
民営納骨堂のメリットは以下のとおりです。
- 多様な選択肢がある
- 立地や設備の良い施設が多い
- 独自のサービスや特徴がある
デメリットは以下のとおりです。
- 価格が比較的高い
- 宗教や宗派の制約がある場合がある
- 運営主体の安定性を確認する必要がある
民営の納骨堂であれば、都心部の利便性の高い場所や、自然豊かな環境など、好みの立地を選べます。
また、24時間参拝可能な施設や、IT技術を活用した新しいサービスを提供する納骨堂など、独自の特徴を持つ施設も増えています。
親身になって寄り添ってくれる業者選びが大切
納骨堂を選ぶ際、形式や設備の良さだけでなく、業者の対応も判断基準です。
最新の設備や豪華な外観も魅力的ですが、それ以上に遺族の気持ちに寄り添ってくれる業者を選ぶことが、後悔しないポイントです。
信頼できる業者の特徴は以下のとおりです。
- 遺族の気持ちを理解し、丁寧に説明してくれるか
- 契約後のサポート体制が整っているか
- 供養の方法や参拝の仕方について、適切なアドバイスをくれるか
- 緊急時や災害時の対応策が明確か
- 他の利用者の評判はどうか
セールストークに乗せられて購入しただけの場合、業者との関係が希薄になり、物足りなさを感じるケースが多くなります。
日本人は伝統的に、墓石へのお墓参りを重視する傾向があります。お盆の時期に友人が霊園でお墓参りをした話を聞くと、寂しさを感じる方もいるかもしれません。
そのため、納骨堂を選ぶ際も、単に遺骨を保管する場所としてではなく、心を込めて供養できる場所として考えることが大切です。
納骨堂における3つのメリット
納骨堂には、従来の墓地と比べて多くのメリットがあります。ここでは、特に重要な3つのメリットを詳しく解説します。
- 墓石に比べて費用が安い
- 無縁仏になりにくい
- 駅から近いなどアクセスが良い施設がある
順番に解説していきます。
墓石に比べて費用が安い
納骨堂は、従来の墓石と比較して費用を抑えられます。
一般的な墓石の場合、土地代、石材費、工事費などを含めると、100万円から200万円程度の費用がかかります。さらに、年間の管理費も必要です。
一方、納骨堂の場合、初期費用は50万円から100万円程度で済むケースが多く、墓石の半分以下の費用で利用できます。また、管理費も比較的安価に設定されている施設が多いです。
お墓の形式による費用の差は、土地の使用方法の違いから生まれます。墓石では一区画ごとに土地を占有しますが、納骨堂は多くの遺骨を効率的に収納できるため、一人当たりの費用が安価です。
そのため、納骨堂は経済的な負担を軽減しつつ、大切な人を供養できる選択肢として注目されています。
お墓の改装から納骨堂に移すケースも増えている
事例の一つとして、お墓改葬(お墓じまい)によって墓石ではなく納骨堂の永代供養に移す方がいます。
心配事として、お墓には6名分のお骨が収納されており、納骨堂には6名分のお骨を収容する必要がありました。
納骨堂の方にも収容人数は限られているため、契約したものの供養してもらえるか不安だったそうです。
解決策としては以下の2つがあります。
- ご遺骨の一部は最初から合葬で埋葬してもらう
- ご遺骨を少し細かくして収容してもらう
解決方法としては上記もありますが、事前にお墓解体にかかわる石材店にご遺骨の質量を確認してもらい、ご遺骨の質量にあった納骨堂を選ぶことが望ましいです。
改装や納骨堂についてお困りの方は、いつでもご相談ください。
無縁仏になりにくい
従来の墓石では、継承者がいなくなると無縁墓となり、最終的には撤去されてしまう可能性があります。多くの人にとって大きな不安要素となっています。
一方、納骨堂では、個別の供養期間が終了した後も、多くの場合、合祀墓に移されて供養が続けられます。
合祀墓とは、複数の遺骨を一箇所にまとめた供養をいいます。そのため、たとえ直接の継承者がいなくなっても、永続的に供養されます。
さらに、一部の納骨堂では、年間護持会費を支払い続ければ、個別供養期間を無期限に延長できるサービスを提供しています。
駅から近いなどアクセスが良い施設がある
多くの納骨堂が都市部や交通の便の良い場所に立地しているため、お墓参りがしやすいでしょう。
たとえば、東京都内の納骨堂では、最寄り駅から徒歩5分以内という好立地の施設も少なくありません。
駅から近いメリットは以下のとおりです。
- 高齢者や体の不自由な方でも気軽に参拝できる
- 仕事帰りや休日のちょっとした時間にも立ち寄れる
- 公共交通機関を利用できるため、車の運転が難しい方でも安心
さらに、24時間参拝可能な納骨堂も増えており、自分のライフスタイルに合わせて柔軟にお墓参りができるようになっています。
納骨堂は現代の都市生活に適した、アクセスの良い供養の形として選ばれています。
アクセス重視のお墓が希望ならネット墓も考えよう
ネット墓は、インターネット上に設けられた仮想的な墓地です。従来の墓地や納骨堂とは異なり、物理的な場所を必要としません。
ネット墓の特徴は、時間や場所の制約がほとんどないことです。スマートフォンやパソコンがあれば、世界中どこからでも故人を偲ぶことができます。
遠方に住む家族や友人も、簡単に故人との絆を感じられるものです。
ネット墓を検討する際は、以下のような点を考慮すると良いでしょう。
- 遠方の親族や友人が多く、物理的な参拝が難しい状況にある
- 墓地の購入や維持にかかる費用に制約がある
- 家族や親族がインターネットの基本操作に慣れている
- 故人の思い出を広く共有したいと考えている
ネット墓は、アクセスの良さを最重視する方、または従来の供養方法に満足できない方にとって、検討に値する選択肢となるでしょう。
納骨堂における3つのデメリット
納骨堂には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。ここでは、納骨堂の主な3つのデメリットについて解説します。
- お線香やお花などお供え物ができない
- 屋内施設の場合は建物の改修が必要
- 運営会社が倒産するリスクがある
順番に解説していきます。
お線香やお花などお供え物ができない
納骨堂の多くは、防火や衛生管理の観点から、お線香やお花などのお供え物を制限しています。
施設内の安全性を確保し、他の利用者への配慮を行うためです。
たとえば、お線香の火は火災のリスクがあり、生花は腐敗や虫の発生の原因となる可能性があります。
そのため、多くの納骨堂では、造花や、専用のLEDライトなどの代替品を用意しています。
しかし、従来のお墓参りの形式に慣れている方にとっては、納骨堂の制限が物足りなさを感じさせる要因となるかもしれません。
特に、お線香の香りや生花の美しさを通じて故人を偲ぶことを大切にしている方々にとっては、大きなデメリットとなるでしょう。
屋内施設の場合は建物の改修が必要
納骨堂は、定期的な建物の改修や修繕が必要となります。建物の老朽化に伴う安全性の確保や、施設の美観維持のために不可欠な作業です。
たとえば、大規模な改修工事の場合、数千万円から数億円の費用が予想されます。
改修工事中は一時的に参拝ができなくなったり、工事の騒音で静かな雰囲気が損なわれたりする可能性もあるでしょう。
通常、利用者の管理費や修繕積立金から捻出されますが、管理会社によっては費用だけ徴収しておいて改修を先延ばしにする可能性があります。
運営会社が倒産するリスクがある
民間企業が運営する施設では、運営会社の経営状況が安定しているかどうかが重要です。
なぜなら、運営会社が倒産した場合、納骨堂の管理や運営も滞る可能性があるからです。
最悪の場合、納骨堂が閉鎖され、遺骨の引き取りや他の施設への移動が必要になることもあります。遺族にとって精神的にも経済的にも大きな負担となります。
事前の対応策としては、運営会社の財務状況や事業の継続性を必ず確認しましょう。
また、地方自治体や宗教法人が運営する納骨堂を選ぶと倒産のリスクは低いです。
さらに、契約時に、万が一の場合の対応策(例:他の納骨堂への移転サポート)が明確に定められているかどうかを確認することも大切です。
まとめ
今回は、納骨堂の定義や基礎知識、費用相場などについてお伝えしました。納骨堂に関して知っておくべき基礎知識は以下の3つです。
- 納骨堂と永代供養は比較対象ではない
- 納骨堂の収容人数は1〜10人
- 基本的には一定期間で合祀される
納骨堂の購入を検討する際は確認しておきましょう。
また、納骨堂をの選び方は以下のとおりです。
- 価格の安さや宗派不問なら公営
- 数ある選択肢の中から施設を選ぶなら民営
まとまった費用がかかるため、購入後に後悔しないための判断を個人で行うのは難しい場合もあります。
まずは、専門家に相談をして、どのような埋葬方法がふさわしいのかを決めることから始めてみてください。
山崎石材工業では、無料にてお墓のことをご相談いただけます。もし、納骨堂に関するお悩みがあればお気軽にご相談ください。