
お墓のデザインって、どこまで自由にできるの?



ほかの人と同じようなお墓じゃなく、うちの家族らしい形にしたい
結論からお伝えすると、お墓のデザインは、想像以上に自由に決められます。
最近では、石の色や形、彫刻の内容だけでなく、花や景色が映えるデザイン、洋風・モダンなスタイルまで、さまざまな選択肢があります。
お墓は心を込めて故人を偲ぶ場所であり、画一的である必要はありません。
石材店や霊園でも、個別の希望に沿ったデザイン相談ができるケースが増えてきています。
この記事では、どんなデザインの選び方があるのか、費用の目安や注意点まで、分かりやすくご紹介します。
- お墓のデザインの種類
- デザイン墓石の費用相場と価格の内訳
- デザイン選びで後悔しないための注意点



最後まで、読んでいただければ、あなたの思いやご家族らしさをカタチにしたお墓を作るためのヒントがきっと見つかるはずです。
デザイン墓石を作る本当の理由


お墓は、亡くなった人を偲ぶだけでなく、残された家族の想いを形にできる大切な場所です。
だからこそ、近年は見た目の美しさや個性を重視した「デザイン墓石」を選ぶ人が増えています。
とくに、亡きご両親への深い想いを形にしたいという気持ちから、世界にひとつだけのお墓をつくろうと考える方もいます。
もし自分たちでデザインを描けなくても、石材店と力を合わせて相談すれば、その想いを込めたかたちがきっと見つかるはず。
花や風景を取り入れた彫刻、やさしい丸みのある形など、想いをデザインに反映させることで、故人らしさを残すことができます。
お墓のデザインの種類
お墓と一言でいってもそのデザインはさまざまです。大きく分けると以下の3種類があります。
- 和型墓石
- 洋型墓石
- デザイン墓石
順番に解説していきます。
和型墓石|伝統を重んじる格式あるスタイル


和型墓石は、昔ながらの伝統を大切にした格式あるお墓のかたちとして、今でも多くの人に人気があります。
縦に長い三段構造が「天・地・人」を表すとされ、仏教的な意味合いを持っています。
ご先祖様への敬意や長く受け継がれてきた家族のつながりを大切にしたいという想いが、形に込められています。
たとえば、和型墓石は墓誌や香炉、花立などの付属品とも調和しやすく、落ち着いた印象を与えます。
年配の方やご家族にもなじみやすく、お参りする人に安心感を与えることも特徴です。
和型墓石は見た目だけでなく、心の在り方や先祖を敬う気持ちを大切にする方に適したスタイルといえます。
洋型墓石|シンプルでモダンな現代スタイル


洋型墓石は、見た目がすっきりとした横長の形をしており、シンプルで洗練されたデザインを好む方に選ばれています。
従来の和型墓石よりも高さが低く、圧迫感が少ないため、周囲の景観と調和しやすい特徴があります。
たとえば、洋型墓石は、石の色や仕上げ方によって自由な印象を出すことができ、彫刻や文字のデザインにも個性を込めやすくなっています。
洋型墓石は伝統にとらわれすぎず、自由な発想で故人らしさや家族の想いを表現できる、現代らしいお墓のかたちといえるでしょう。
デザイン墓石|個性を反映する自由設計スタイル


デザイン墓石は、見た目や形に決まりがなく、自由な発想で作ることができるスタイルです。
故人らしさや家族の想いを形にしたいという人に人気があります。昔に比べてお墓の在り方が多様化し、「こうでなければいけない」という考え方にとらわれなくなってきました。
たとえば、丸みのあるやさしい形や、好きだった花や風景を彫刻に入れるなど、見た目にも温かみのあるデザインが人気です。
中には、ベンチ付きのデザインや、家族で囲むように配置されたものもあり、お参りのたびに心が落ち着くと感じる人もいます。
このように、デザイン墓石は「想いを形にする」ことを大切にしたい方にぴったりのお墓です。
デザイン墓石の費用相場と価格の内訳


ここからは、デザイン墓石のお金に関することをお伝えしていきます。お墓は思っていたよりも高額になるケースが少なくありません。
事前に情報を集めてから石材店に相談にいきましょう。
お墓の平均相場
お墓を建てる際に、まず気になるのが費用の目安ではないでしょうか。
全国的な平均相場を見ると、お墓の購入費用はおおよそ100万円から200万円程度です。
この金額には、墓石そのものの代金だけでなく、基礎工事や設置費用、彫刻代、管理料などが含まれます。
使用する石の種類や産地、墓地の広さ、希望するデザインによって金額に差がつきます。
たとえば、比較的シンプルな和型墓石であれば100万円前後で収まる場合もありますが、洋型やデザイン性の高いお墓、特注のものになると300万円を超えることも。
また、都市部の霊園では土地代が高くなるため、全体の費用も上がる傾向があります。
お墓の価格は「石の種類・大きさ・場所・デザイン」によって変動します。
あらかじめ予算の上限を決めたうえで、見積もりを取りながら進めると安心です。



お墓のデザインは工夫することで、シンプルでセンス良く価格を抑えることもできます。
価格を左右する3つの要因
デザイン墓石の価格は、いくつかの要因によって大きく変わってきます。
そのため、見積もりを比較する際には、どこに費用がかかっているのかを知っておきましょう。
ポイントとなるのは、以下の3つです。
- 石の種類
- デザインの複雑さ
- 墓地の場所
まず大きな要因となるのが「石の種類」です。
国産の石は品質が高く、採掘量が限られているため価格も高めになります。
一方、海外産の石は比較的安価ですが、色味や質感に違いがあるため、見た目や耐久性にも影響します。
次に、「デザインの複雑さ」も金額に直結します。
曲線が多い形や彫刻が細かいものほど、手間がかかるため、加工費用が上がる傾向があります。
また、特殊な形状やオーダーメイドを希望する場合は、設計料が加算されることもあります。
さらに、「墓地の場所」も重要です。とくに都市部では土地代や工事費が高くなる傾向があり、同じデザインでも地方より費用がかさむ場合があります。
お墓の価格は複数の要因が重なって決まるため、見た目だけで判断せず、内容をよく確認しておきましょう。
予算に合わせたデザインの工夫
「デザイン墓石=高額」というイメージを持つ方もいらっしゃいますが、工夫次第で予算内に収めることは十分に可能です。
デザイン墓石を選ぶ際は、完成までに複数回の打ち合わせが必要になることもあります。
あらかじめスケジュールにゆとりを持っておくと、納得のいく形に近づけやすくなります。
そして何より、長く大切にしていくお墓だからこそ、加工精度にこだわる石材店を選ぶことも忘れてはいけません。
価格だけで判断せず、信頼できる職人の手で丁寧につくられるかどうかも確認しておきましょう。
また、石材店との打ち合わせで多くの要望を伝えることは大切ですが、要素を整理しないと、かえってまとまりのないデザインになることがある点も注意しましょう。



実際に、シンメトリーデザインでカーブの形状がスムーズさを欠き、いびつな形になってしまったという事例がありました。デザインの方向性を共有し、石材店と協力してまとめることが重要と言えるでしょう。
お墓のデザインで後悔した人の声とは?


残念ながら、お墓を購入したあとに後悔してしまう方もいらっしゃいます。
同じような思いをしないためにもしっかりと読み進めてください。
思っていたより費用が高くついた
「予算内で収まると思っていたのに、気づけばかなりの金額になっていた」こうした声は、お墓づくりを終えた方のなかでも意外と多く聞かれます。
その理由の一つは、見積もりに含まれていない費用があとから発生するケースです。
たとえば、文字の彫刻費や納骨の立ち合い料、工事後の管理料など、最初の説明では触れられていなかった細かい費用が重なり、結果的に当初の予算を超えてしまうことがあります。
これらを防ぐには、事前にどこまでが基本料金なのか、追加になる項目は何かをはっきりとさせておくことが大切です。
とくにデザイン墓石を選ぶ場合は、希望と予算のバランスをしっかり確認しながら進めるようにしましょう。
見た目重視で掃除や維持が大変になった
このような後悔の声もお墓を建てた方から少なからず聞かれます。
最近では、デザイン性の高い洋風墓石や曲線を多く使った個性的なお墓が人気です。
しかし、溝や彫刻が多いデザインは、ほこりや落ち葉がたまりやすく、掃除に手間がかかることがあります。
水はけが悪い形状の場合、雨のあとに水が残ってしまい、汚れが目立ちやすくなることもあります。
最初は気にならなくても、年を重ねるごとに掃除やお手入れが負担になってしまうこともあるようです。
見た目の美しさは大切ですが、長く使い続けるものだからこそ、掃除のしやすさや維持の手間にも目を向けて選ぶことが大切です。
親族とトラブルになってしまった
お墓のデザインを決める際に、意外と多いのが「親族との意見の食い違いによるトラブル」です。
デザイン墓石は自由度が高いため、自分たちだけで決めてしまうと、あとから不満や反対の声があがることがあります。
たとえば、洋風のシンプルな墓石を選んだところ、「先祖代々のお墓と並べると雰囲気が合わない」と年配の親族に反対されたというケースがあります。
こうしたトラブルを避けるためには、あらかじめ家族や親族とよく話し合い、気持ちを共有しておくことが大切です。
とくに長男やお墓の継承者が中心となって調整することで、話が進めやすくなります。
デザイン選びで後悔しないための6つの注意点


お墓のデザインで後悔しないためポイントは、大きく分けて6つあります。
- お墓の形状に合わせて文字を選ぶ
- デザインだけでなく視認性も確認する
- 彫刻する文字にもこだわる
- 素材との相性を確認する
- 法規や慣習を確認する
- 家族と事前に十分に話し合う
初めてお墓を選ぶ方でも分かりやすいように説明していきます。
1.お墓の形状に合わせて文字を選ぶ
お墓のデザインを考えるうえで、文字の書体や配置は意外と見落とされがちです。
しかし、墓石の形状に合った文字を選ぶことで、全体の印象がより美しく、調和の取れたものになります。
たとえば、丸みのある柔らかなデザインには、優しさを感じさせる書体がよく合います。
反対に、シャープな線を持つモダンな形には、すっきりとした現代的なフォントを使うと、洗練された印象を引き出すことができます。
2.デザインだけでなく視認性も確認する
お墓のデザインを考えるとき、見た目の美しさばかりに目が行きがちですが、忘れてはいけないのが「文字の見やすさ」です。
どれほど洗練されたデザインであっても、肝心の文字が読みにくければ、伝えたい想いや名前がきちんと伝わりません。
とくに注意したいのが、文字の大きさやフォントの形です。
あまりに細い線や装飾の多い書体を選んでしまうと、遠くから見たときに読みにくくなってしまうことがあります。
年配のご家族や視力が弱い方にとっては、文字が読みやすいかどうかはとても大切なポイントです。
3.彫刻する文字にもこだわる
お墓に刻む文字は、単なる名前や日付を示すためだけのものではありません。
そこには、故人を偲ぶ気持ちや家族の想いが込められており、長く残る大切なメッセージでもあります。
彫刻する内容だけでなく、文字の大きさや書体にも気を配ることで、より深い印象を与えることができます。
お墓は、残された人たちが手を合わせ、想いを馳せる場所です。
だからこそ、どのような言葉を刻み、どんな形で伝えるのかにこだわることでより心に残るお墓になります。
4.素材との相性を確認する
お墓のデザインを考える際には、見た目や形だけでなく、「使われる素材との相性」も大切なポイントです。
石材の種類や色によって、合う文字の書体や彫刻の方法が異なります。
たとえば、黒や濃い色の石は光をよく反射するため、彫った文字がくっきりと浮かび上がりやすくなります。
この場合は、太めで直線的な書体を使うと、さらに読みやすさが増します。
一方で、淡い色や細かい模様が入った石材では、文字が背景に紛れてしまうことがあるため、文字の縁に色を入れたり、陰影を工夫したりする必要があります。
素材の特性を理解し、それに合ったデザインや文字を選ぶことで、お墓全体の調和がとれ、美しさと機能性を両立することができるでしょう。
5.法規や慣習を確認する
お墓のデザインを自由に決められると思っていても、実は墓地ごとに定められた規則や地域に根付いた慣習がある場合があります。
そのため、工事を始める前に、必ず確認しておくことが大切です。
たとえば、公営や一部の民間霊園では、墓石の高さや幅に制限が設けられていたり、使用できる石材の色や形状が定められていたりします。
彫刻する文字についても、一定の書体や表現方法しか認められていないケースがあり、希望していたデザインが実現できないこともあります。
また、宗派や寺墓地建墓などによっては、その宗派のお題目「南無阿弥陀仏」が必須のケースもあります。
こうした背景を知らずに進めてしまうと、あとで親族との意見の対立につながるおそれもあるため注意が必要です。
6.家族と事前に十分に話し合う
お墓のデザインを決める際に、もっとも大切なのは「家族の想いを一つにすること」です。
見た目や形がどれほど立派でも、意見がすれ違ったままでは、後々の後悔やトラブルにつながるおそれがあります。
近年では、家墓や夫婦墓、個人墓など、お墓のかたちも多様です。
たとえば、「将来は子どもが継ぐのか」「両家で一緒に入るか」など、話し合っておくべき内容はたくさんあります。
石材店との対話も重要です。家族で話し合った内容を伝えることで、それぞれの想いを丁寧に形にしたデザインを提案してもらいやすくなります。
また、プロの視点から現実的なアドバイスを受けることで、より納得感のある選択につながるでしょう。
まとめ


お墓のデザインは、一度決めたら長く残るものだからこそ、慎重に選びたいものです。
お墓のデザインにおいて重要なのは、シンプルで機能的であること、そして永く残ることを見据えた永続性を備えていることです。
見た目や好みだけで進めてしまうと思わぬ費用の増加や維持の負担、さらには親族とのトラブルにつながることもあります。
今回ご紹介した注意点は、後悔しないお墓づくりのために押さえておきたい6つのポイントです。
- お墓の形状に合わせて文字を選ぶ
- デザインだけでなく視認性も確認する
- 彫刻する文字にもこだわる
- 素材との相性を確認する
- 法規や慣習を確認する
- 家族と事前に十分に話し合う
どれも見落としがちな内容ですが、ひとつずつ丁寧に確認しておくことで、納得のいくお墓に近づけるはずです。
お墓は、ご家族やご先祖との絆を表す大切な場所です。デザインの自由度が高い今だからこそ、見た目だけでなく、使いやすさや気持ちの面まで配慮しましょう。