
■ あの日、言えなかった一言
「父さん、立派なお墓を建てたね。」
その言葉を、生きているうちに伝えることができなかった。
それが、ずっと心の片隅に残っていました。
46年前、父が北海道・浜益の地に建てたお墓。
ふるさとの山々を背に、静かにそびえ立つその石は、家族を見守り続けてきました。
■ 改葬を決意した、正直な理由
年齢を重ねるにつれて、浜益までお墓参りに行くことが少しずつ難しくなってきました。
自分自身の体調のことも考えたとき、「お墓を、自分が住む場所に引っ越させてあげたい」という気持ちが生まれてきたのです。
改葬――つまり、お墓ごと引っ越すこと。
それは簡単な決断ではありませんでした。
兄弟への相談も、正直、緊張しました。
でも、兄弟一同が「それでいい」と、快く容認してくれた。
その言葉が、どれほど背中を押してくれたことか。
■ 山崎石材の自社工場で、46年前の石が新品同様に
浜益のお墓に使われていた墓石を、そのまま生かすことにしました。
山崎石材工業の自社工場に持ち込まれた石は、職人の手によって丁寧に磨き直され、46年分の風雪を経た石が、驚くほど美しくよみがえりました。
「父さんが選んだ石を、捨てなくてよかった。」
そう思えたとき、胸の奥がじんわりと温かくなりました。
■ 両家墓として、新しいかたちへ
今回のリノベーションでは、二つの家の想いをひとつに納める「両家墓」として再生しました。
正面には大きく「偲」の一文字。
シンプルで、でも力強いその彫刻が、これからの家族を静かに見守ります。
黒と灰色のコントラストが美しい御影石、整えられた白砂利、供えられた色鮮やかな花と果物。
新しいお墓は、青空の下で穏やかに輝いていました。
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